台湾には仏教信者が全国を行脚して霊場を巡る巡拝という習わしに馴染みはないようです。
宗教の本質は同じでも、国によって宗教観や風習に違いがあって、三十三観音霊場巡拝も日本人には馴染みのことでも台湾では新しい試みといえるでしょう。
台湾三十三観音霊場は臨済宗を中心に曹洞宗の5寺院を加え設立されました。
宗教人にとって仏縁が大きな絆となり広がりを見せていますが、台湾を訪れる日本人観光客にとっても、台湾を深く知る大きな機会を得たといえます。
訪問地が台湾の主要な観光地にとどまらず、三十三観音霊場を訪れることが、台湾の文化を知る手がかりとなり、今まで以上に多くの人々と出会い、温かい触れ合いを持てるでしょう。
また。台湾人の宗教観や宗教的な風習を知ることが三十三観音霊場巡拝の意義を高め、縁ある人への恩(孝行)を深めるという旅の本質を明らかにしてくれます。
台湾には私たちの感覚で捉えるところのお寺・仏寺や、在家信者が集まる斉堂。さらに、多くの寺院では神様が合祀されています。
たとえば台北のあるお寺では御本尊が観音菩薩ですが、たくさんの神様が祀られ、祖先のお参りと神様への御願いが同時進行。
神杯を使ったお神籤も当然のようにひかれています。お神籤の内容を解釈してくれるのは寺院を支えるボランティアの信者の方々。
確かに日本のお寺とは違うようですが、その違いを見つけて「なるほど」と納得するのが、実は楽しみなのかも知れません。
また、ただの観光にとどまらず未見の土地に足を向けることが新しい事柄や味わいに出会う確立を高め、それが旅の醍醐味につながります。
巡拝の意味あいは仏教的解釈以外に深く、それを紐解くことが心の旅と言えるのではないでしょうか。
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